日本株の高配当・増配はなぜ増えている?東証改革と注目ポイント

日本株の高配当・増配はなぜ増えている?東証改革と注目ポイント

「日本株は配当が物足りない」——少し前まで、そんなイメージを持っていた方は多いかもしれません。ですが、ここ数年で状況は大きく変わりました。この記事では、日本株で高配当・増配が増えている背景と、高配当株を選ぶときに気をつけたいポイントを、一般の読者向けにわかりやすく整理します。

日本株の高配当・増配は市場全体で増えている

先に結論をお伝えすると、日本株では高配当・増配の流れがはっきり強まっています。 しかも一部の人気銘柄に限った話ではなく、上場企業全体で株主への還元を厚くする「構造変化」が起きているのが今の特徴です。

なぜ増えているのか — 東証の改革が引き金

最大のきっかけは、東証(東京証券取引所)が2023年3月から進めている「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請です。これはプライム市場・スタンダード市場の全上場会社(約3,300社)に向けたもので、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割れ、ROE(自己資本利益率)の低い企業が多いという問題意識から、「資本効率を高め、株価や株主還元を意識した経営をしてください」と繰り返し求めるものです(いわゆる「PBR改善要請」とも呼ばれます)。この後押しを一因として、多くの企業が増配自社株買いで応えるようになりました。

自社株買いは過去最大ペース

2025年は1〜5月だけで自社株買い(取得枠の設定額)の累計が約12兆円に達し、前年同期比で約2割増と、同じ時期として過去最高の水準になりました。市場に出回る株数が減ることで一株あたりの価値が高まり、株主還元の柱になっています。

配当総額も増加傾向

配当の総額も増え続けており、上場企業の還元姿勢は全体として明確に前向きになっています。

「増配の常連」も健在

一時的な高配当だけでなく、連続して増配を続ける企業も注目されています。代表例として——

  • 花王 … 30期を超える連続増配(日本株の連続増配記録の代表格)
  • 三菱HCキャピタル … 26期前後の連続増配、配当利回り4%前後

日本では一般に配当利回り4%以上が「高配当」の目安とされます。連続増配企業は、長い事業歴・ブランド力・安定した収益を背景に、景気の波を越えて配当を増やし続けられる点が評価されています。

高配当株を選ぶときの注意点

魅力的な流れである一方、利回りの数字だけで判断するのは禁物です。

高配当=安全ではない

株価が下がった結果として、利回りが見かけ上高くなっているケースがあります。これは業績悪化のサインであることも多く、利回りの高さだけで飛びつくのは危険です。

場当たり的な還元は見透かされ始めている

市場では、一過性の自社株買いよりも、稼ぐ力(ROE)の向上を伴う持続的な還元かどうかが問われるようになっています。還元の「中身」を確認することが大切です。

減配・無配もあり得る

配当は業績次第で減配・無配になることもあります。1銘柄に集中せず、複数の銘柄や資産に分散してリスクを抑えましょう。

まとめ

東証改革を追い風に、日本株の高配当・増配は「一部の銘柄」ではなく市場全体のトレンドとして広がっています。ただし大切なのは、利回りの高さだけでなく、その配当を続けられる「稼ぐ力」があるかどうかを見ること。数字の裏側まで確認したうえで、自分の投資方針に合うかを判断していきましょう。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。

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