今回は主要なアメリカのクレジットカード会社を比較し、どの銘柄が投資対象として魅力的かを検討してみたいと思います。
VISA、Mastercard、アメリカン・エキスプレスってどんな会社?
まずは今回紹介する3社の簡単な概要を紹介します。
VISA Inc.
世界No.1の決済ブランドです。1958年バンク・オブ・アメリカが発行したBankAmericardsが前身となってスタートしました。名実共にNo.1の国際ブランドです。
Mastercard Incorporated
VISAに次ぐ国際決済サービスを提供しています。2002年にEuro Cardと統合。銀行ATMオンラインシステムのCirrusやデビットカードのMaestroを展開しています。
American Express Company
もともと荷馬車運送からスタートし、郵便為替やトラベラーズチェックで世界進出を果たし、ステータスカードとしても有名なアメリカン・エキスプレス・カードを発行する企業です。他の2社と比べて、金融やトラベル・サービス、保険など総合的なサービスを直接提供している点が大きく違います。
こういったサービスを提供するカードはT&Eカード(Travel & Entertainment)と呼ばれます。
ウォーレン・バフェットが経営するバークシャー・ハサウェイが筆頭株主となっています。
3社の基本情報比較
VISA Inc. | Mastercard Incorporated | American Express Company | |
---|---|---|---|
ティッカー | V | MA | AXP |
創業年 | 2007年 | 1966年 | 1850年 |
従業員数 | 19,500人 | 18,600人 | 64,000人 |
セクター | 情報技術 | 情報技術 | 金融 |
事業 | ITサービス | ITサービス | 消費者金融 |
決算月 | 9月 | 12月 | 12月 |
配当支払月 | 3月、6月、9月、12月 | 2月、5月、8月、11月 | 2月、5月、8月、11月 |
国際ブランドのシェア
2015年と少し古いデータではありますが、国際ブランドのシェアは以下のようになっています。
- VISA・・・56%
- Mastercard(マスターカード)・・・26%
- 中国銀聯(ぎんれん)・・・13%
- American Express(アメックス)・・・3%
- JCB・・・1%
- Diners Club・・・1%
VISAが圧倒的シェアを持っています。
いずれの会社も国際ブランドとして、決済サービスを提供しています。これらの会社はクレジットカードの発行会社にこの決済サービスをライセンス提供しており、決済金額の一部を手数料として徴収するビジネスモデルです。
一度インフラが整ってしまえば、あとはチャリンチャリンとお金が自動的に入ってくる仕組みですので、収益性が非常に安定しているが大きな魅力だと言えます。
VISAやMastercardは自社でクレジットカードは発行していません。一方でアメックスやJCB、ダイナースクラブは、国際ブランドである半面、自社でもクレジットカードを発行している点が大きな違いと言えます。
財務データの比較
売上高
売上高を見ると、意外なことにアメリカン・エキスプレスが最も高いことが分かります。
なぜ売上が一番大きいのかというと、アメックスは国際決済サービスだけではなく、トラベルサービスの提供、保険など総合的な金融商品を扱っており、それが売上の増大に貢献しているようです。
良く言えば、アメックスは他事業展開で売上を伸ばしていると解釈もできますが、敢えてマイナス面をみれば、事業範囲が集約できておらず資産の有効活用が出来ていないという捉え方もできそうです。
純利益と純利益率
純利益と純利益率を続けて見ていきましょう。
売上高ではAXPが一位でしたが、純利益でみるとVISA→Mastercard→アメックスの順となっています。
純利益、純利益率共にVISAが勝っています。特に純利益率については、VISAの方が高く、投資という面においては優位性がありそうです。
配当状況
配当性向
2017年にアメックスが40%以上の配当性向となっていますが、それを除けば配当性向はほとんど横並びで各社20%前後で推移しています。
連続増配
VISA
2008年に上場して以来、2019年時点で11年連続で増配しています。リーマンショックでも増配を維持しているのはさすがです。
Mastercard
2019年時点で9年連続増配となっています。
American Express
アメックスは2009年のリーマン・ショック時に連続増配が途切れているようですが、2019年時点で8年連続増配しています。減配していないでみると期間はもっと長いです。
株価の比較
ベンチマークとしてS&P500と比較してみます。(2020年4月12日時点)
まずは5年スケールです。一番伸びている赤がMastercard、オレンジがVISAです。株価の伸びはMastercardの方がいいのが分かります。American ExpressはS&P500と同じ様な動きをしています。
続いて1971年からの長期の推移です。同じく赤がMastercard、オレンジがVISAです。
Mastercardの株価の伸びが半端ないですね。別の見方をすれば、VISAはMastercardの後から上場していて、これから上昇する余地が大きいと見ることができるのかもしれません。
投資するならVISAが良さそう
色々な面で3社を比較してきましたが、VISAやMastercardの2銘柄が魅力的に見えます。特に収益性、配当性、シェアを考えるとVISAが他の2社よりも優れているので、投資対象としても魅力的に見えます。