今回は米国株の中でも人気の高い2つのETFであるSPYとSPYDを比較してみたいと思います。
SPYとSPYDの違い
SPYとSPYDはどちらもステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が運営するETFで、「SPDR(スパイダー)」というブランド名が利用されています。ETFとは上場投資信託のことで、複数の銘柄が組み合わさった投資信託が、上場している銘柄のことで、市場で自由に売買できるようになっています。多くは指数連動型となっており、日経平均やTOPIX、S&P500などと同じ様な値動きをするように作られています。
例えば、S&P500は、米国を代表する500の銘柄で構成された株式指数となっており、S&P500に連動するETFであれば、その500銘柄をまるごと買うことと同じになります。
SPY
SPYは、ETFの銘柄の一つで、正式名称は「SPDR S&P 500 ETF」といい、米国の株式指数であるS&P500に連動するように作られたETFです。SPYを購入するだけで、米国を代表する500銘柄をまるごと購入できることになります。1993年に米国初のETFとして登場し、2020年でも最大の純資産を誇っています。SPYは最初に登場したETFとして有名ですが、SPYの登場以降、S&P500に連動したIVV,VOOといったETFが登場しております。このあたりは詳しく後述します。
構成銘柄の上位10銘柄
SPYの構成銘柄は、時価総額加重平均で構成されており、時価総額が大きいな銘柄ほど、保有比率が多くなるようになっています。Microsoftを筆頭に、日本でも馴染みのある銘柄が上位を占めています。
銘柄名 | Ticker | 保有比率[%] |
---|---|---|
Microsoft Corporation | MSFT | 5.74 |
Apple Inc. | AAPL | 5.40 |
Amazon.com Inc. | AMZN | 4.22 |
Facebook Inc. Class A | FB | 2.24 |
Alphabet Inc. Class A | GOOGL | 1.71 |
Alphabet Inc. Class C | GOOG | 1.70 |
Johnson & Johnson | JNJ | 1.58 |
Berkshire Hathaway Inc. Class B | BRK.B | 1.40 |
Visa Inc. Class A | V | 1.35 |
JPMorgan Chase & Co. | JPM | 1.16 |
SPYD
SPYDは2015年に登場したばかりの新しいETFで、正式名称は「SPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF」といいます。SPYDは、S&P500指数構成銘柄の中でも。高配当の上位の銘柄80銘柄で構成されています。S&P500の高配当上位80銘柄に約1.25%ずつ投資しています。投資セクターとしては不動産に約20%となっています。米国不動産は値動きが激しいことで知られていますので、ややリスクが高いといえるかもしれません。SPYとSPYDは同じような名前のティッカーですが、内容はかなり異なっています。SPYはS&P500にまるごと連動するのに対して、SPYDは高配当上位80銘柄なので、違いは認識しておく必要がありそうです。
構成銘柄の上位10銘柄
SPYDのの構成上位10銘柄がこちらになります。見て頂ければわかるのですが、S&P500の時価総額上位のGoogle、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftなどの銘柄は含まれていません。あくまで高配当銘柄の上位の銘柄となっています。
銘柄名 | Ticker | 保有比率[%] |
---|---|---|
Gilead Sciences Inc. | GILD | 2.337 |
General Mills Inc. | GIS | 2.266 |
AbbVie Inc. | ABBV | 2.180 |
Digital Realty Trust Inc. | DLR | 2.068 |
Crown Castle International Corp | CCI | 2.030 |
Kraft Heinz Company | KHC | 1.986 |
Cardinal Health Inc. | CAH | 1.965 |
Pfizer Inc. | PFE | 1.888 |
Dominion Energy Inc | D | 1.873 |
Kellogg Company | K | 1.800 |
SPYDをさらに深く解説した記事もありますので、SPYDへの投資を検討している方はこちらもご覧ください。
[銘柄分析][米国]SPYD – 高配当ETFを紐解く[投資実績レポート]
SPYとSPYDを比較
SPYとSPYDを比較してみます。
基本情報を比較
設定日 | 純資産額 | 構成銘柄数 | |
---|---|---|---|
SPY | 1993年1月22日 | 約28兆円 | 500 |
SPYD | 2015年10月21日 | 約1800億円 | 約80 |
SPYDは2015年に登場してまだ日が浅いこともあり、純資産額はそこまで大きく伸びていません。
経費率と配当利回りを比較
経費率 | 配当利回り | |
---|---|---|
SPY | 0.09% | 1.95 % |
SPYD | 0.07% | 6.70 % |
経費率、配当利回りもSPYDの方が優れています。配当利回りは、以前は4~5%程度でしたが、コロナ危機の暴落後6%台まで利回りは上昇しています。
チャートを比較
SPYとSPYDの比較チャートになります。本グラフがSPYD、オレンジがSPYとなります。
見て頂ければ分かりますが、SPYが非常に高いパフォーマンスとなっています。ただし、SPYDは高配当となっていますので、本来は配当金も含めてパフォーマンスを比較する必要はあると思います。
コロナウィルスによる株価暴落に目を向けると、SPYDの下落幅が大きく、また株価の回復が遅いことが分かります。これはSPYDは高配当である一方で、会社として業績があまりよくない銘柄が含まれていることが原因であると考えられます。
SPYDに含まれる銘柄は、株価が低迷していることで、配当利回りが上がっている銘柄が多いので、コロナクライシスの影響がより顕著に出たと考えられます。SPYDは高配当という面では魅力的ですが、株価の下落のリスクが大きい点は承知しておいた方がよさそうです。
SPYDがHDV,VYMよりも大幅に下落!2020年3月 | コロナショック
SPY、IVV、VOOを比較
SPYは世界初、最大ということで有名なETFですが、経費率という点において、あとから登場した二つのETFの方が優れています。
経費率 | 配当利回り | 設定日 | |
---|---|---|---|
SPY | 0.09% | 1.95 % | 1993年1月22日 |
IVV | 0.04% | 2.14 % | 2000年5月15日 |
VOO | 0.03% | 1.93 % | 2010年9月7日 |
経費率とは、運営会社の手数料に相当する部分で、1年間の運用資産に対して発生します。いずれのETFも0.1%以下と非常に低い経費率となっていますが、一番最後に登場したVOOはわずか0.03%の経費率と非常に優れています。
チャートで比較
直近5年間のチャートを比較してみます。
いずれのチャートもほとんど重なっていて、ほとんど違いはわかりません。いずれのETFに投資しても、パフォーマンスはほぼ同じということになりますが、少しでも経費率が低いVOOが、最も人気を集めています。配当利回りで選ぶにしても、経費率で選ぶにしても、いずれにせよSPYよりは優れていますので、いまから投資を始めるならば、SPYよりもIVVやVOOの方がよいでしょう。
ETF純資産ランキング
順位 | ティッカー | 銘柄 | 純資産 | 運用期間 |
---|---|---|---|---|
1 | SPY | SPDR S&P500 ETF | 27.6兆円 | 27.3年 |
2 | IVV | iシェアーズ・コア S&P 500 ETF | 19.4兆円 | 20年 |
3 | VTI | バンガード・トータル・ストックマーケット ETF | 14.2兆円 | 19年 |
4 | VOO | バンガード・S&P 500 ETF | 14.1兆円 | 9.7年 |
5 | 1306 | TOPIX 連動型上場投資信託 | 10.8兆円 | 18.9年 |
6 | QQQ | パワーシェアーズ QQQ | 10.8兆円 | 21.2年 |
7 | AGG | iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF | 7.7兆円 | 16.7年 |
8 | VEA | バンガード・FTSE先進国市場(除く北米)ETF | 6.9兆円 | 12.8年 |
9 | GLD | SPDR ゴールド・シェア | 6.4兆円 | 15.5年 |
10 | 1321 | 日経225連動型上場投資信託 | 5.7兆円 | 18.9年 |
結局どちらを買うべき
どちらを買うべきかは、非常に難しいところです。
最近の米国株ではインデックス投資が最もパフォーマンスが高いと言われていますので、それを信じるならばSPY(VOO)ということになります。
実際にコロナクライシスの後、配当金を考慮しても、VOOの方がパフォーマンスは高くなっています。
一方でSPYDは年に3回、6%近い配当を出していますので、配当金をうまく再投資することで、よいパフォーマンスが生まれる可能性もあります。
資産を最大化させたいのか、キャッシュフローを最大化させたいのかよって投資スタイルも変わると思いますが、VOOの方がパフォーマンスが高い可能性があります。