米国株の銘柄はセクターによって分類されていますが、セクター分けしている会社によって、分類方法や名称が異なっています。
以下のセクター分類は、GICS(世界産業分類基準)のもので、今回もこちらのセクターを元に説明しています。
Sector | セクター |
---|---|
Consumer Staples | 生活必需品 |
Health Care | ヘルスケア |
Financials | 金融 |
Utilities | 公共事業 |
Information Technology | 情報技術 |
Industrials | 資本財 |
Energy | エネルギー |
Communication Services | 通信サービス |
Consumer Discretionary | 一般消費財 |
Materials | 素材 |
Real Estate | 不動産 |
こちらはS&P500のセクター別の比率です。情報技術セクターが24.4%と一番多く、ヘルスケア(14%)、金融(12.2%)と続いています。
景気循環別セクターの特徴
景気サイクルを以下の4つに分類したときに、それぞれに強いセクターがあると言われています。
引用:Sector investing using the business cycle
海外での表現と日本での表現を対比すると以下のような形になります。
回復→Early-cycle phase
好況→Mid-cycle phase
後退→Late-cycle phase
不況→Recession phase
それぞれの景気循環に応じて強いと言われているセクターも存在しています。国内の米国株系のブログを色々と見てみましたが、含まれるセクターにばらつきがありましたので、海外サイトの情報をベースにしています。[1]
- 回復(初期):金融、資本財、一般消費財、不動産
- 好況(中期):情報技術、通信サービス
- 後退(後期):エネルギー、素材
- 不況:生活必需品、公共事業、ヘルスケア
株式投資で銘柄を分散させるときには、これらの景気循環を考慮してセクター分散させることで、安定したパフォーマンスを狙える可能性があります。
ただし、あくまでも傾向として見るべきで、この分類に依存しすぎるのは良くないと思います。例えば、エネルギー系は原油価格の下落の影響もあり、後退局面でも株価は下がり続けています。
セクター別の特徴と有名銘柄
各セクターごとで、どのような特徴があるのかを紹介し、さらに各セクターの中でも日本でおなじみの銘柄を紹介したいと思います。有名である=おすすめということではないので、そこだけ注意してください。
有名銘柄の選定基準ですが、日本でも馴染みのある商品やサービスがあるかどうかを基準にしています。幾分主観的な選定となっている点、ご容赦ください。
なお、セクターの特徴については、記事の内容を追記しながら充実させていきたいと思っています。
情報技術(Information Technology)
情報技術、いわゆるITですが、好況時に強いといわれています。以下のように銘柄をみるとマイクロソフトやアップルなど、米国市場を牽引するような大型の銘柄が含まれています。S&P500の銘柄でも約25%がこのセクターとなっています。
- [CRM]セールスフォース・ドットコム
- [ADBE]アドビ
- [V]ビザ
- [MA]マスターカード
- [PYPL]ペイパル
- [IBM]IBM
- [ACN]アクセンチュア
- [MSFT]マイクロソフト
- [ORCL]オラクル
- [CSCO]シスコシステムズ
- [AAPL]アップル
- [INTC]インテル
- [QCOM]クアルコム
- [NVDA]エヌビディア
ヘルスケア
- [ABBV]アッヴィ
- [JNJ]ジョンソン・エンド・ジョンソン
- [PFE]ファイザー
- [MRK]メルク
金融
金融は景気の回復局面で強いとされています。
- [JPM]JPモルガン・チェース
- [BAC]バンク・オブ・アメリカ
- [WFC]ウェルズ・ファーゴ
- [C]シティ・グループ
- [AXP]アメリカン・エキスプレス
- [MS]モルガン・スタンレー
- [GS]ゴールドマン・サックス
- [BRK.B]バークシャー・ハサウェイ
生活必需品(Consumer Staples)
生活必需品は、その名前の通り、生活に必要な商品を扱うグループです。売上が景気変動に左右されづらく、景気後退にディフェンシブ性のある特徴があると言われています。
実際にコロナショックの際にパフォーマンスをウォッチしていましたが、下落率は他の銘柄に比べても低く抑えられていましたので、ディフェンシブ性があるというのは間違いなさそうです。
- [KO]コカ・コーラ
- [MO]アルトリア・グループ
- [PG]プロクター・アンド・ギャンブル
- [PM]フィリップ・モリス・インターナショナル
- [WMT]ウォルマート
- [COST]コストコ・ホールセール
- [PEP]ペプシコ
この中でも特にウォーレンバフェット銘柄として有名なコカ・コーラは、日本の投資家からも非常に人気の高い銘柄です。また、アルトリアやフィリップ・モリスなどはたばこ銘柄ですが、高配当銘柄という特徴があります。
エネルギー
景気後退局面で強いと言われるエネルギーセクションですが、特に石油系は原油価格の動向など、地政学上のリスクが大きく、景気循環に関係なく株価は下落を続けています。一方で配当利回りはどんどん上がっており、2020年のコロナショックでロイヤルダッチシェルなどは配当利回りが15%を超えました。
- [RDS.B]ロイヤル・ダッチ・シェル
- [XOM]エクソンモービル
- [CHV]シェブロン
- [SLB]シュルンベルジェ
素材
- [DOW]ダウ
- [DO]デュポン・ドゥ・ヌムール
資本財
含まれる業種
主な業種:運輸、航空、防衛
- [BA]ボーイング
- [LMT]ロッキード・マーティン
- [CAT]キャタピラー
- [EMR]エマソン・エレクトリック
- [GE]ゼネラル・エレクトリック
- [MMM]スリーエム
- [UBER]ウーバー・テクノロジーズ
- [GM]ゼネラル・モーターズ
- [TSLA]テスラ
公共事業
公共事業セクターは、不況時に強いと言われています。
公共事業セクターは、以前は独占的地位により高い収益性を確保していました、規制緩和による自由化が進み、昔に比べるとより競争の激しい環境となっています。
日本で知られている銘柄はほとんどありません。
- [AEP]アメリカン・エレクトリック・パワー
- [SO]サザン
通信サービス(Communication Services)
AT&Tなどはわかりやすい通信ですが、このセクターにはメディア・娯楽などの業種も含まれます。
- [T]AT&T
- [VZ]ベライゾン・コミュニケーションズ
- [GOOG]アルファベット
- [FB]フェイスブック
- [TWTR]ツイッター
- [DIS]ウォルト・ディズニー
一般消費財(Consumer Discretionary)
一般消費財は、生活に必ずしも必要ではない消費財を扱う銘柄が含まれています。生活必需品セクターと消費財という面では共通していますが、生活に必要なものであるか、必ず必要なものではないかという違い株価に明確に違いを生んでいます。
主な業種:アパレル、小売
- [NKE]ナイキ
- [HLT]ヒルトン・ワールドワイド
- [SBUX]スターバックス
- [MCD]マクドナルド
- [HD]ホーム・デポ
- [AMZN]アマゾン・ドットコム
- [BABA]アリババ・グループ・ホールディング
- [BKNG]ブッキング・ホールディングス
不動産
後退期は市場平均をアンダーパフォームする傾向があります。一方で回復期には、アウトパフォームする傾向があります。長期投資でバイアンドホールドでは難しいかもしれませんが、うねりどりの要領でタイミングをつかめば、市場に打ち勝つ可能性もあります。銘柄単位でみれば、日本で馴染みのある銘柄はありません。
[CBRE]CBREグループ[SPG]サイモン・プロパティ・グループ
気になる銘柄のセクターの調べ方
ここで紹介した銘柄意外の銘柄のセクターが気になる場合は、以下のサイトの検索からティッカーを入力することで、セクターを知ることができます。
ページ下部にある「Company Profile」にSector(セクター)とIndustry(業種)が表示されています。
長期的に勝ち組のセクターはどこか?
セクターごとのリターンと成長性については、ジェレミー・シーゲルの「株式投資の未来」に詳しく書かれています。1957年~2003年まで、配当を再投資することを前提にパフォーマンスを比較したところ、以下のセクターのパフォーマンスが高いことが確認されています。
- エネルギー
- 生活必需品
- ヘルスケア
興味深いのはエネルギーセクターです。市場規模は縮小し続けていますが、高配当により、再投資の効果が高まり、結果として、他の成長産業セクター以上のリターンを実現しています。
また、生活必需品は、コカ・コーラやプロクター・アンド・ギャンブルの様に高いパフォーマンスを維持し、世界的なブランド戦略をすすめています。
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[2]・・・Sector investing using the business cycle