ポートフォリオの分散投資の一部として、コモディティ商品、特に金への投資が注目されています。
今回は、金・ゴールドに投資したい場合に、どのような銘柄があるのか、その方法、種類、銘柄を整理しました。
金投資の方法はさまざま
金に投資する方法は一般的な投資家が投資する方法としてざっと整理すると以下のような種類があります。
・金地金(現物投資、純金積立)
・先物
・国内ETF
・国内ETN
・海外ETF
・投資信託
・金鉱株(個別銘柄)
これだけ種類があると、一体どれに投資すればよいのかわからないですよね(汗)
こういった情報について、なかなかまとまった情報を見つけることができなかったので、この記事をまとめてみました。
これから金投資を始めたいと考えている方の参考になれば幸いです。
おすすめの投資は?
結論から言えば、その方の投資期間、投資金額と、リスクの考え方によって、なにがベストかは変わってきますが、大体の方であれば、以下のどれかになると思います。
国内ETF:1326、1540
海外ETF:GLDM
投資信託:三菱UFJ 純金ファンド
投資の方法では何がいいのか?
金地金、先物
種類 | コード/ティッカー | 商品 |
---|---|---|
純金積立 | – | 金(プラチナ、銀もあり) |
国内商品先物 | – | 金、金ミニ、金スポット(プラチナ、銀、パラジウムもあり) |
海外商品先物 | – | 金、ミニ金、マイクロ金(銀、ミニ銀もあり) |
金地金(きんじがね)は、金にたいしてそのまま投資する方法です。
金地金に投資するメリットの一つが、売却時に50万円の特別控除を利用できるという点があります。
特に5年以上保有することで、税金面でのメリットが享受できますが、確定申告が必要であったり、取引ケースによって所得の区分が代わったりと、少し面倒な印象はあります。
楽天証券であれば、純金積立として、金を購入できます。手数料は買付時のみ1.5%+消費税となっています。ただし、現物の金に交換はできないという仕組みのようです。
田中貴金属のような貴金属の積み立てサービスを利用すると、手数料はさらに上がりますが、比較的低コストで現物の金に替えることができるので、本物の金への換金性を重視したいという方には、一つの選択肢かもしれません。
先物取引であれば、証拠金を入金することで、レバレッジを掛けた取引をすることができます。自信のある方はいいかもしれませんが、一般的な投資家であれば、高いリスクがあるために避けた方がよさそうな投資方法です。
国内ETF
コード/ティッカー | 商品 | 経費率(税抜) |
---|---|---|
1326 | SPDRゴールド・シェア | 0.400% |
1328 | 金価格連動型上場投資信託 | 0.500% |
1540 | 純金上場信託:金の果実(現物国内保管型) | 0.400% |
1672 | ETFS金上場投資信託 | 0.40% |
1683 | One ETF 国内金先物 | 0.450% |
国内ETFであれば、一般的な株式と同じ様に取引できます。取引のしやすさ、低い手数料が大きなメリットです。他の株式と損益通算できるほか、貸株や信用取引ができるといったメリットもあります。
国内ETFで特に注目したい銘柄は【1326】SPDRゴールド・シェアと【1540】純金上場信託:金の果実(現物国内保管型)です。他の銘柄は出来高も少なく、あえて選ぶメリットはなさそうです。
【1540】は、実際に金に交換することもできる銘柄で、経費率も0.4%とかなり低い水準です。金に交換できるということで、安心感があるかもしれませんが、非常に高い手数料を払う必要がありますので、基本的に金に交換するということは前提にしない方が賢明だと思います。本当に金に交換する可能性を考慮したい方は、低コストで金を引き出せる田中貴金属のような貴金属店の純金積立の方がよいと思います。1540は、国内の金価格に連動するのが特徴です。
【1326】は、米国ETFのGLDの東証に上場している銘柄で、GLDは世界最大の金ETFとして、最も有名です。資産残高も高く、経費率も0.4%とかなり低い水準です。
売買手数料は、国内株式と同じ手数料体系が適用されます。
1326とGLDの違い
2つとも経費率は0.4%と同じで、同じ運用が行われていますが、1326は円換算された値動きをしますので、為替の影響が含まれている点が大きな違いです。2つのグラフとドル円の為替を合わせて見てみます。
赤丸のところを見ればよく分かると思うのですが、GLD(GLDM)に対して、為替を考慮した結果1326はマイルドな動きとなっています。金は世界的にはドル建てで運用されますので、円高になれば、金の価値は上がり、円安になれば金の価値は下がります。金価格との連動性を重視するのであればGLD(GLDM)を、日本株としてシンプルな取引を重視するのであれば1326を選択すると良いのかなと思います。特に数百万円レベルの資産を運用する方であれば、金価格以外の(為替リスクなどの)変動リスクを除外できるという意味でも、GLD(GLDM)の選択肢が有力だと思います。またGLDの値動きはドル円相場と逆相関の動きをする傾向が見て取れますので、為替リスクの変動を減少させる意味でも、GLD(GLDM)を保有するメリットがありそうです。楽天証券では、どちらの銘柄も買付手数料無料で取引できます。
※後述しますが、GLDに関しては、実際に購入するのであれば、GLDMの方がメリットが大きいです。
国内ETN
2036 | NEXT NOTES 日経・TOCOM金ダブル・ブルETN |
2037 | NEXT NOTES 日経・TOCOM金ベアETN |
国内ETNに関しては2つの銘柄があります。どちらもレバレッジがかかった商品で、ETFに比べればリスクが高めです。
2036は”日経・東商取金指数の前日比変動率(%)の2倍となるように計算された、日経・東商取金レバレッジ指数を連動対象とした商品”で、
2037は”指数の変動率が、日経・東商取金指数の前日比変動率(%)の-1倍となるように計算された、日経・東商取金インバース指数を連動対象”とした商品です。
金価格が下落傾向にある場合には、2037が選択肢にあがるかもしれませんが、この手の商品は”長期間運用すると乖離が起こる”、”価値が目減りする”などのデメリットがあるので、そういったデメリットを踏まえて投資すれば、妙味はあるかもしれません。
海外ETF
コード/ティッカー | 商品 | 経費率(税抜) |
---|---|---|
GLD | SPDRゴールドシェア | 0.400% |
GLDM | SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト | 0.18% |
IAU | iシェアーズ・ゴールド・トラスト | 0.250% |
GDXJ | マーケット・ベクトル・ジュニア金鉱株ETF | |
GDX | マーケット・ベクトル・金鉱株ETF |
複数のETFがありますが、圧倒的にGLDの資産残高が多く、金の運用としては最も有名なETFです。金をポートフォリオに加えるという方であれば、最も有力な選択肢になると思います。経費率を抑えたETFとしてはIAUやGLDMがあります。経費率が0.18%と非常に低いのが特徴です。
楽天証券ではGLDMの買付手数料が無料となっています。GLDMは2018年06月25日に設定された新しいETFで、資産残高でいえば、GLDに劣りますが、それでも2兆ドルを超える資産残高があり、同じステート・ストリートが運営するETFということもあり、今後はこちらが主流になるのではないかと推測しています。
米国ETFであれば、例えばGLDMなどは約17ドル程度から購入できますので、国内ETFよりも低額から投資できるのも魅力の一つかもしれません。
これらの選択肢の中であれば、GLDMが一番良いのかなと思います。
投資信託
商品 | 経費率(税抜) |
---|---|
三菱UFJ 純金ファンド | 0.550% |
MHAM金先物ファンド | 1.15% |
i-mizuhoゴールドインデックス | |
ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり) | |
ピクテ・ゴールド・インカム・ファンド(毎月分配型) | |
ブラックロック・ゴールド・ファンド | 2.200% |
投資信託で金銘柄を購入する最大の魅力は、最小100円から、積立で購入できるという点でしょうか。毎月積立で、少額から購入したいという方であれば、投資信託が大きな選択肢となりそうです。
中でも、「三菱UFJ 純金ファンド」は、国内ETFで紹介した【1540】純金上場信託:金の果実を通じて投資を行う商品です。純資産残高も300億円を超えており、国内の金の投資信託としては最大手です。つみたてNISAでは購入できませんが、一般NISAで購入することができます。
金鉱株(個別銘柄)
コード/ティッカー | 商品 |
---|---|
ABX | Barrick Gold:バリック・ゴールド |
AU | AngloGold:アングロゴールド・アシャンティ |
AEM | Agnico Eagle Mines:アグニコ・イーグル・マインズ |
AUY | ヤマナ・ゴールド |
GG | ゴールドコープ |
GOLD | ランドゴールド |
FNV | Franco-Nevada:フランコ・ネバダ |
GFI | Gold Fields:ゴールド・フィールズ |
NEM | ニューモント |
金鉱株は、金採掘や金取引を行う会社に投資する方法です。国内でも三井金属などの会社はありますが、金価格との連動性は低く、金投資という観点では向いていないので、除外しています。米国株で金採掘の最大手は[NEM]ニューモント社です。個別銘柄への投資は精査が必要になりますが、実質的にレバレッジがかかったような取引も可能ですので、ETFや投資信託では対応できない、物足りないという方であれば、手を出す余地があるかもしれません。
タイプ別おすすめ投資方法
最後にこれまでの情報を簡単にまとめると、以下のような感じだと思います。
種類 | どういう人におすすめか | 推奨銘柄 |
---|---|---|
金地金 | 金への交換を重視したい 少額から積立投資したい |
貴金属店の積立投資 (田中貴金属など) |
国内ETF | 国内株式として取引したい 現物交換も考慮したい→1540 出来高が多い銘柄がよい→1326 買付手数料無料→1326、1540 |
1326、1540 |
海外ETF | 金価格との連動性重視 多額の資産を運用する見込み 少額から投資したい 買付手数料無料→GLDM |
GLDM |
投資信託 | 少額から投資したい 継続的に積み立てたい |
三菱UFJ純金ファンド ※つみたてNISAは非対応 |
最後に、金価格は2020年7月現在で最高値に近い水準です。この記事の内容は、金投資自体を推奨する意図はありません。くれぐれも慎重に自己判断の上で投資するようにお願い致します。
そのほか、間違いや質問、気になる点などあればお気軽のコメント下さい!