この本は、米国株投資における、銘柄選定の方法や、さまざまな投資スタイルに対する考え方、米国投資でチェックするべき指標など実践的な内容が紹介されています。
著者の広瀬さんは、通称じっちゃまとして、TwitterやYoutubeで活躍されており、私もファンの一人でもあります。
サマリー
大まかに4つのことが書かれています。
1.米国株投資術
2.デイトレードの方法
3.長期投資の方法
4.世界各国の投資方法
この本のエッセンスとしては、第一部に詰まっていると言えるでしょう。
米国株投資術
以下の10箇条にエッセンスがまとめられています。
- 営業キャッシュフローのよい会社を買え
- 保有銘柄の四半期決算のチェックを怠るな
- 業績・株価の動きが荒々しい銘柄と、おとなしい銘柄を上手く使い分けろ
- 分散投資を心がけろ
- 投資スタイルをきちんと使い分けろ
- 長期投資と短期投資のルールを守れ
- マクロ経済がわかれば、投資家としての洗練度が格段に上がる
- 市場のセンチメントを軽視する奴は、儲けの効率が悪い
- 安全の糊代(のりしろ)をもて
- 謙虚であれ(投資の勉強に終わりはない)
営業キャッシュフローマージン
営業キャッシュフローマージンは、売上高から売上原価などを引いた現金収支のこと。選定基準としては、営業キャッシュフローマージンは毎年確実に増えていて、15%~35%程度ある銘柄を選択するとよいというのが、主なアイデアです。これは、会社が収益を上げるビジネスモデルがしっかりしているという考えに基づいています。
長期投資家でもバイ&ホールドをする場合でも、せめて営業キャッシュフローマージン位は確認してよね?という、ドキッとするような指摘もあります。苦笑
営業キャッシュフローマージンの求め方
営業キャッシュフローマージンの求め方ですが、以下のように算出できます。
営業キャッシュフロー・マージン = Operating Cash Flow(営業キャッシュフロー) ÷ Total Revenue(売上高) × 100
書籍にYahoo!financeの調べ方が書いてありますが、今は画面デザインが変わっていますが、調べてみると以下の箇所に記載されています。
売上高は、Cash Flowタブの左側にある、「Income Statement」で一番上にある、「Total Revenue」が該当します。
おそらくGAFAMや米国市場を牽引するスーパーグロース株は、このあたりの数字をラクラクと超えているのではないかと思います。(調べてませんが)
四半期ごとに銘柄チェック
買っただけで放置するのではなく、決算発表は、事前のコンセンサス予想と実績を比較し、サプライズがあるか(予想を上回っているか)をチェックするということです。
これは経験的によくわかります。売上や利益は伸びているのに、通期予想が下方修正された(ネガティブサプライズ)ことで株価が下がる場面を私自身これまでに何度も見てきました。そういう意味で、いいサプライズを継続的に行ってくれる銘柄がよいということです。
初デートの法則というネタ?も紹介されています。
上場まもなく決算を2回連続でしくじる会社は、出会ったばかりの相手から2回連続してデートをすっぽかされたのと同じ。自分が好かれていないと言う悲しい事実を直視し脈がないものとスッパリ諦めよう。
投資家好みの銘柄は期待をいい意味で裏切ってくれる銘柄ということですね。納得です。
バリュー株とグロース株
バリュー株なのか、グロース株なのか?については、ここ数年の米国株ではグロース株が市場を牽引しましたが、一概にどちらが正解というわけではなく、バリュー株がいいときもあれば、グロース株がいいときもあるということで、このあたりは時流をうまく掴んで最適な投資方法を選ぶとよいのかもしれません。
バリュー株とグロース株の視点の違いとしては、以下のような違いがあります。
【グロース投資の投資尺度】
・EPS成長率
・レラティブストレングス
・決算のサプライズ
【バリュー投資の投資尺度】
・PBR
・PER
・株価対キャッシュフロー
またバリュー株では、「ワイドモート」(深い堀)という、競合と差別化できるポイントが必要というウォーレン・バフェットの考え方も紹介されています。この話は、当ブログでも何回も取り上げています。要するにビジネスに差別化要素がないと、価格競争になりしっかりと利益が確保できないということになるのかなと思います。
グロース株はモメンタム(市場の方向性)が重視されますので、モメンタムが変わったらすぐに撤退する潔さも大事ということでした。
短期投資と長期投資
短期投資なのか、長期投資なのか?については、短期か長期かはしっかりと投資スタイルを守ることが大事。
・途中で入れ替えない
・長期投資なら最低20年は存続している会社を
・営業キャッシュフローマージンが15~35%ある会社を選ぶ
まとめ
この書籍は投資を始めた頃に読んだ時はあまりしっくりこなかったのですが、投資経験が増えた中で読み返して初めて納得する(経験的に理解できる)部分が多かったように思います。
“世界一わかりやすい”とありますが、初心者向けというよりは、米国株をちょっと触ってみて肌感覚がある方が読むのにちょうどよいレベル感なのかなと思いました。
書籍データ
初版:2013年
出版:東洋経済新聞社
著書:広瀬隆雄
書籍はプレミアがついて高くなっているので、Kindleで読むことをおすすめします。
じっちゃま関連情報まとめ
最後に「じっちゃま」こと広瀬氏の関連メディアを紹介しておきます。
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