日本製鉄株式会社(Nippon Steel)は、日本を代表する大手鉄鋼メーカーであり、世界でもトップクラスの規模を誇ります。粗鋼生産量で国内首位、世界4位となっています。
事業の売り上げ比率からみると、ほとんどは鉄鋼事業です。
事業セグメント | 売上高比率 |
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鉄鋼事業 | 約85% |
エンジニアリング・建設事業 | 約5% |
化学・素材事業 | 約5% |
新事業・システムソリューション事業 | 約5% |
鋼材の用途としては、自動車、建設、インフラといったジャンルがメインになります。
特に建築分野では、鉄鋼需要が最大の分野となり、全体の50%を占めます。ついで、自動車や機械製造、造船、家電等といったジャンルが需要先となります。
海外売上比率は40%となっており、比較的世界経済の影響を受けやすい銘柄といえます。
相場サイクルにおける鉄鋼株の動き
日本製鉄に限らず、鉄鋼系の銘柄は概ね同じような株価の動きを示します。
鉄鋼株は景気拡大局面やインフレ局面で上がりやすいとされています。これは、鉄鋼の需要が経済活動やインフラ投資と強く結びついているためです。
2020年ころからインフレ傾向となり、金利も上昇してきました。
インフレに伴う資材価格の上昇
インフレが進む局面では、資源や原材料価格が上昇します。鉄鋼もインフレに強い商品として認識され、資産としての価値が評価されやすくなります。また、メーカーが価格転嫁を行いやすい環境も整うため、利益を確保しやすくなります。
需要の拡大
経済が回復または拡大基調に入ると、建設、自動車、製造業などの鉄鋼を多く消費する業界での需要が増加します。これにより、鉄鋼の価格が上昇し、鉄鋼メーカーの業績が改善しやすくなります。
景気敏感株として
鉄鋼株は「景気敏感株」として分類されており、金利が上昇すると、投資家は成長株からバリュー株(割安株)へと資金をシフトする傾向があるため、鉄鋼株が選好されやすくなります。
これらの理由により、鉄鋼株は大幅に上昇してきました。
今後の動き
相場サイクルの観点から
今後インフレが継続するにともなって、今度は金融引き締めが始まる逆金融相場がはじまります。
逆金融相場とは、中央銀行が金利を引き上げ、資金供給を抑制することで、景気過熱やインフレを抑えようとする局面です。このような状況で鉄鋼株が下落しやすくなります。
日米においては、今は金利が上昇局面ですので、まだまだ鉄鋼株にとってはよい市場環境が続いているように思いますが、鉄鋼株の上昇も中盤から終盤に差し掛かっているような状況のようにも思えます。
高配当銘柄の代表格でもありますし、執筆時点でも5%ちかい配当が出ていますので、投資対象として魅力を感じる一方で、相場サイクルとしての今後の下げには注意したい銘柄ではあります。
USスチールの問題
米国のUSスチールの買収問題があり、バイデン政権では買収を阻止するような報道もありました。トランプ政権に変わって、米国の鉄鋼メーカーの象徴ともいえるようなUSスチールの買収が果たして成功するのかが大きな資金石になりそうです。