この記事は2020年5月7日に更新しています。
概要
アメリカテキサス州にある石油メジャーの一つ。今はスーパーメジャーと呼ばれているうちの一つになります。
1 エクソンモービル(2014年度・売上高3941億ドル)
2 ロイヤル・ダッチ・シェル(2014年度・売上高4211億ドル)
3 BP(2014年度・売上高3587億ドル)
4 シェブロン(2014年度・売上高2004億ドル)
5 トタル(2014年度・売上高2361億ドル)
6 コノコフィリップス(2014年度・売上高555億ドル)
【参考】スーパーメジャー(from Wikipedia)
1999年にエクソンとモービルが合併したことで、現在の企業となっています。
同業他社との比較
ロイヤル・ダッチ・シェル
売上はエクソンモービルよりも大きく米国の同業の中では1位の売上となっています。配当利回りも税引前で6%を超えており、投資の対象としても魅力的です。ただしここ数年は増配がありません。
ロイヤル・ダッチ・シェルも良い銘柄だとは思いますが、S&P500やダウ30種に採用されていないという点からも人気でいえばエクソンモービルに軍配が上がっているのではないかと思います。
(2020年5月7日追記)2020年1Qの決算でロイヤル・ダッチ・シェルは1945年以来はじめて減配しました。
主な事業
川上(Upstream)、川下(Downstream)、化学の3つの部門で主な収益を上げています。
川上・・・原油・天然ガスの探鉱・開発
川下・・・石油製品の製造・販売
化学・・・石油化学製品の製造・販売
2018年12月時点で売上の72%が川下事業となっています。
株価の推移
財務指標
売上推移を見てみると、2016年に底をうち、2017年、2018年と売上を回復させています。
PER:14.22倍
PBR:1.53倍
EPS:4.88
BPS:45.27
2019/12/20時点
配当
2019年時点で36年連続増配しています。
このあたりがエクソンモービルの最大の魅力になっています。よく比較にあがるロイヤル・ダッチ・シェルは連続増配こそありませんが、70年間減配がない点で魅力的です。
配当月(支払い日基準)
3月、6月、9月、12月
リスク
原油価格の下落
政権の政策
環境問題
中東の地政学リスク
石油流出等の損害賠償
原油価格の動向について
XOMは原油価格動向が売上に大きく影響を与えます。XOMの株価推移を占うためにも、原油価格の動向が非常に重要になります。
原油価格はコロナ暴落時に大幅に値を下げましたが、その後40ドル付近まで回復しています。ただし、そもそもコロナの影響が長引いているせいで、石油需要が低迷し、株価の回復の兆しは見えていません。
2020年1月8日時点
2020年のイラン攻撃の影響から、原油価格は上昇に向かっていますが、エクソンモービルの株価にどの程度影響があるのかはわかりません。株価の値動きをみても、あまりダイレクトに影響はないように見えます。
進むシェール開発
現在アメリカではシェールオイルの開発が進んでおり[3]、需要の8割程度を米国国内で生産できるようになっているようです[5][7]。特にエクソンモービルは、2014年以降上流への投資は控えていたということなのですが、新たに上流の投資をすすめているようです[4]。
ただし、原油価格を調整するために、好きなだけ採掘すればいいというわけではなさそうです。このあたりが単純にいい話ばかりではないということでしょうか。
話は少しそれますが、米国は自国内で原油を生産できるようになったことで、輸入への依存が減り、経常収支がプラスの方向に進むという指摘もあります。そうなった場合、ドル高が進むことになりますので、対外的に円安が進行する可能性もあります。[7]
評価
2020年1月某日
XOMといえば、米国高配当銘柄の一つとして、よく目にする銘柄です。1982年から2019年時点で37年連続増配しており、配当利回りは5.01%と魅力的な銘柄です※。株価も低迷していますが、長期的に下げ続けるような企業ではないと考えておりますので、継続的に購入してもよい企業であると考えています。
※3.48ドル / 69.39ドル
一方で社会的に脱石油という流れがあり、縮小するエネルギー産業という側面は大きいと思います。また環境・社会・企業統治に関するESGという観点もあり、社会的に風当たりが厳しい事業分野という面があります。
また、シェールオイルの開発状況や、トランプ政権の動き、中東の地政学リスク、原油価格の動向など複雑な要件が業績に影響を与えており、なかなか先を読むのが難しい側面があります。
実際エクソンモービルは多額や投資や原油価格の上昇の割には利益に結びついていないという状況もあるようで、ここ数年の株価の下落はそういった期待感とのギャップが値を下げているのではないかと推測しています。サウジアラコムもそうですが、石油に依存している国や企業は次の収益源を探す流れは今後強くなると思っています。
複雑な状況がありつつも、エクソンモービル自体は収益力のある会社であると考えています。このあたりシェールオイルの開発や、石油以外の事業がどのように展開されているのかという情報は今後もキャッチアップしていく必要がありそうです。
2020年4月
コロナショックの影響で、2020年1Qは赤字に転落しました。一方で配当は維持してくれたあたりはエクソンモービルの意地を感じます。
コロナショックは終わりは見えませんが、いつか終息することを考えれば、ここまで下落ことを考えれば、そこまで不安視する必要はないかもしれません。
問題は原油価格の下落です。シェールオイルの採算ラインは48ドル〜50ドルと言われています。価格が回復するかどうかが大きなポイントですが、サウジアラビア、ロシアのOPECプラスとアメリカの原油戦争ともいえる状況は、先行きの見えない不安を感じます。またトランプ大統領の裁量一つで原油価格が大きく値動きする状況も見過ごせません。
エクソンモービルという会社自体は、配当に非常の積極的な会社であると考えていますが、短中期では減配する可能性も考慮しておいた方がいいかもしれません。
財務指標
年間1株益と1株あたりの配当推移
希薄化後EPS | 1株配当 | 配当性向 | |
---|---|---|---|
2015年12月 | 3.85 | 2.88 | 74.81% |
2016年12月 | 1.88 | 2.98 | 158.51% |
2017年12月 | 4.63 | 3.06 | 66.09% |
2018年12月 | 4.88 | 3.23 | 66.19% |
2019年12月 | 3.36 | 3.43 | 102.08% |
四半期1株益と1株あたりの配当推移
四半期 | 希薄化後EPS | 1株配当 | 配当性向 |
---|---|---|---|
2018年12月 | 1.41 | 0.82 | 58.16% |
2019年3月 | 0.55 | 0.82 | 149.09% |
2019年6月 | 0.73 | 0.87 | 119.18% |
2019年9月 | 0.74 | 0.87 | 117.57% |
2019年12月 | 1.33 | 0.87 | 65.41% |
2020年3月 | -0.14 | 0.87 | — |
2020年6月 | -0.26 | 0.87 | — |
tesの投資スタンス
中立→弱気(2020年8月3日更新)
コロナウィルスの影響から石油の需要の回復の見通しは立っておらず、石油小売各社の収益は引き続き苦しいと考えています。また、原油価格についてはサウジアラビアとロシアにおける地政学的な観点から先行きが非常に見えない状況が続いています。
特に世界でコロナ感染者は増加を続けており、石油需要でもっとも大きい航空系の回復の見通しは全くたっていない状況です。原油価格も40ドル前後で推移しており、シェールオイルの採算ラインを考えれば、もう少し上でないと厳しそうです。 私としては、一旦追加の投資は見合わせます。現在保有している銘柄は、長期投資の観点から、もうしばらく保有を継続する予定です。米国株の最適なポートフォリオのための考察、XOMとSPYDどうする?
tesの配当履歴
配当実績 | 口数 | 税引後配当 |
---|---|---|
2020年3月 | 30 | $18.74 |
2020年6月 | 55 | $34.33 |
【参考】
[1]・・・REUTERS[2]・・・みずほ証券海外銘柄レポート(エクソンモービル)
[3]・・・https://www.sankei.com/premium/news/190710/prm1907100003-n2.html
[4]・・・(日本経済新聞)米石油メジャー、8~13%増収 エクソンは設備投資増
[5]・・・[ZUU Online]米スーパーメジャーが、世界の原油価格を左右する。
[6]・・・[日本経済新聞]米シェブロン、シェール資産1兆円減損 原油下落で
[7]・・・お金は歴史で儲けなさい(加谷珪一)(朝日文庫)