FIREという言葉はFIRE(Financial Independence, Retire Early)の頭文字をとったもので、日本語では「経済的自立と早期退職」という訳になります。
この本を読むと
・一体FIREとはなんぞや?
・どうすればFIREできる?
・他にもサイドFIREとかあるよ!
というようなことが紹介されています。
主な主旨
FIREを目指す上では、収入の増加、支出の減少、投資と、主に3つの要素が重要になるのですが、この書籍ではとりわけ支出にフォーカスのあたった内容に多くのページが割かれています。
そこで生まれた余力は投資に回すことは前提になります。最低限手数料の低い、インデックス投資や債権を含めたポートフォリオ運用が紹介されていますが、それほど投資について詳しく書かれているわけではありません。
収入についても、著者は年収1,000万円程度だったということですが、年収が低くても、貯蓄率を上げることでFIREは可能だと説いています。
FIREにおける重要な考え
FIREにおいては4%ルールというものが存在します。
これは年間支出の25倍の貯蓄がある状態で、毎年資産の4%を取り崩しながら生活していれば、お金が尽きることなくFIREを実現できるというものです。どうして取り崩しているのに資金がつきないのか?
それは、資産を株式投資で運用していれば、長期的には年間7%程度で(米国の)株式市場は成長しているので、4%の取り崩しであれば、資金は尽きることがないという考えです。
これは退職資金がどれくらい必要かを検証したトリニティ・レポートという研究に基づいています。
FIREに向けた3つの要素
これは個人的には非常にしっくりとした内容です。ミリオネアになるには、他の2つが平凡であっても、1つが卓越していれば十分にミリオネアに到達できるというものです。
この観点で、この書籍は支出にフォーカスをあてたやり方ということが言えます。そして収入や投資でお金を増やすよりも、支出を抑え、効率化することは、再現性も高く、効果が見えやすいというのは特徴として言えそうです。
逆にロバート・キヨサキの「金持ち父さん、貧乏父さん」では、投資にフォーカスがあたっており、貯蓄などは貧乏父さんがやることだというような論調になりますが、結局はどこにフォーカスを置くかが重要ということになります。
それでも再現性がないという意見も
この書籍、Amazonのレビューを見てみると、再現性がないという意見もあるようです。
私からすれば、この書籍は比較的、再現しやすい支出を抑える(効率化する)という点で非常に再現しやすい内容ではないかと思います。これで再現出来なければ、それこそFIREなど絶対に不可能ではないかと思います。
やはり経済的な自立のタイミングを退職時ではなく、30代や40代など若いうちに達成しようということを目標にするわけですから、どこかしらで無理をする必要があるわけです。その点、この書籍のような支出を抑えるようなやり方は1つの再現性の高い方法なのかなと思います。
FIRE本として有名な本に「FIRE 最速で経済的自立を実現する方法」があります。こちらの本はFIREに向けたステップや、それを実現するための具体的で実践的な方法が紹介されていますが、こちらの本は、FIREについての読み物的な感じな構成になっています。また、著書自身も言っていますが、基本的には支出を抑える、または効果的な支出のやり方という点にフォーカスがあたっているイメージです。
FIRE 最強の早期リタイア術(本著) | 支出を抑える、効率化する |
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FIRE 最速で経済的自立を実現する方法 | 収入を増やす、投資で増やす |
私とFIREの出会い
私がFIREという言葉を最初に耳にしたのは、恐らくTwitterだと思います。
気づいたら興味を持っていた株式投資の勉強を進めているうちに、株式投資をしている一部の人がFIREを目指していることを知ったのがきっかけです。
私が思う、世間のFIREに対する勘違い
私は、さまざまなFIREに関する情報に触れるにつれて、世間のFIREに対する大きな勘違いであると感じはじめました。それは、FIREは必ずしも早期退職する必要はないということです。早期退職はあくまでも選択肢の問題であって、FIREが早期退職を実現する必要はないということになります。
その理解なくして、「そもそも今の仕事が嫌いなら転職したほうがいい」というような意見、少し的はずれであると思います。
FIREという言葉の中でも重要なのはFI(経済的自立)の部分にフォーカスを当てるべきであることは注意したほうが良いでしょう。