先日SBIより登場したSBI・Vシリーズ。その中にSBI・V高配当株式インデックスファンドという商品があります。
こちらの商品は、実質的にVYMに投資する商品なのですが、直接VYMを買うことと何が違うのか?そしてどちらを買うべきなのかを紹介したいと思います。
SBI・Vシリーズが登場
SBI・Vシリーズは、SBIとバンガードがタッグを組んで生まれた投資信託の商品シリーズです。
従来SBIバンガードと呼ばれており、「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」はSBI証券でも非常に人気のある投資信託で、今回はバンガードという名称がVという名称に変更され、新たに2つの商品が追加されました。
・(改称)「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」
・(新設)「SBI・V・全米株式インデックス・ファンド」
・(新設)「SBI・V・米国高配当株式インデックス・ファンド」
3つの商品の詳しい紹介は、こちらの記事も参考になりますので、是非ご覧ください。
詳しくは後述しますが、SBI・V米国高配当株式インデックスファンド(以降、SBI・V・高配当株式)は、内部ではVYMを実質の投資対象としています。つまりSBI・V・高配当株式も、運用成果はVYMの影響を受けます。
VYMの特徴
まずは、VYMから見ていきましょう。
VYMは、バンガード社が運営するETFで、高配当ETFの中でも、より財務健全性が高い銘柄で構成されています。バンガードのサイトによれば、「大型株の中でも、予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄を、重点的に組入れます。」と紹介されています。
ファンド名称 | バンガード・米国高配当株式ETF |
---|---|
運営会社 | バンガード |
ベンチマーク | FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス |
銘柄数 | 約400 |
経費率 | 0.06% |
設定日 | 2006/11/10 |
総資産額 | 417億ドル |
配当利回り※ | 3.02% |
配当支払月 | 3,6,9,12月 |
VYMはFTSEハイディビデンド・イールド・インデックス(円換算ベース)に連動する成果を目指すETFです。
FTSEハイディビデンド・イールド・インデックスとは何なのか?
「FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス」は米国株式市場の中でも高配当利回りの銘柄を対象として、REITを除く400銘柄から構成されています。この指数は、時価総額加重平均で構成されていますので、時価総額が大きい銘柄ほど保有比率が高くなります。
FTSEハイディビデンド・イールド・インデックスは、米国株の中で、高配当銘柄からなる株式指数で、以下のような企業を含んでいます。
ティッカー 銘柄名
JPM JPMorgan Chase & Co.
JNJ Johnson & Johnson
HD Home Depot Inc.
PG Procter & Gamble Co.
BAC Bank of America Corp.
CMCSA Comcast Corp.
XOM Exxon Mobil Corp.
VZ Verizon Communications Inc.
INTC Intel Corp.
T AT&T Inc.
VYMのメリット
SBI・V・高配当株式の特徴
次にSBI・V・高配当株式を見ていきます。
SBI・V・高配当株式はファミリーファンド方式の投資信託で、バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)を実質の投資対象として運用されます。
実はこのSBI・V・米国高配当株式は基本的に分配金はありません。
えっ、高配当なのにどういうこと?
と思われるかもしれませんが、実はこの銘柄では配当はファンド内で再投資されています。そして投資信託で再投資される際には、分配金に税金がかかりませんので、再投資の効率が高いということがあげられます。
ETFで直接購入することとの違い
VYMかSBI・V・米国高配当株式という話のように、投資対象のETFを直接買うことと何が違うのでしょうか?
ETFを直接買うことと投資信託で買うことの魅力を比較してみました。
投資信託 | ETF | |
---|---|---|
購入単位 | 100円以上1円単位 | 1株単位 |
つみたてNISA | ◯ | ✕ |
手数料 | 高い | 安い |
分配金 | 内部で再投資 | 米国・日本で課税 |
手数料の点で、直接投資するETFには及びませんが、投資単位の小ささ、つみたてNISAへの対応、配当の内部再投資といった点で、投資信託は魅力的です。
一方で、高配当株投資で配当を受け取りたい方などは、SBI・V・米国高配当株式ではなく直接VYMを選んだほうが良さそうです。
パフォーマンスがいいのはどちらか?
今回は、VYMを直接買って得られる配当金を全額再投資するという前提で検討してみます。
コストを比較する
それぞれでどのようなコストがかかるのかを整理してみます。
VYM | SBI・V・高配当株式 | |
---|---|---|
購入時 | ・購入手数料:0.495% ・為替手数料:25銭 (1ドル110円の場合、0.22%) |
なし |
運用中 | ・経費率:0.06% | 運用管理費用(信託報酬):0.0938% (運用実績に応じた隠れコスト:0.1%程度と過程) |
配当金/分配金 | ・米国課税:10% ・日本課税:20.315% |
分配金なし (配当金は内部で再投資 米国課税:10%のみ) |
売却時 | ・売却手数料:0.495% ・為替手数料:25銭 (1ドル110円の場合、0.22%) |
なし |
で、どちらがパフォーマンスいいの?
本当はちゃんと根拠となる計算をしないといけないのですが、現時点ではできていないので、私の仮説でご勘弁を。。。
でおそらくなのですが、VYMに直接投資して再投資するということを考えた場合は、国内課税の20.315%の影響が大きいため、SBI・V・米国高配当株式の方がパフォーマンスは高いのではないかと考えています。SBI・V・米国高配当株式はたしかにVYMに比べて0.13%ほど運用管理費用が高いのですが、SBI・V・米国高配当株式は配当金が国内課税されないで再投資されているメリットの方が大きいのではないか考えています。
直接の参考にはならないのですが、SBIバンガードS&P500(投資信託)とVOO(ETF)を比較したシミュレーション結果によると、ETFの方が国内課税の影響が大きく、投資信託の方がメリットが大きいという結果が出ているようです。[1]
そうなると一つ問題が。。。
仮にVYM直接投資よりも、SBI・V・米国高配当株式の方がパフォーマンスがいいとした場合、もう一つ気になる点があります。
それはSBI・V・米国高配当株式とSBI・V・S&P500はどちらがパフォーマンスがいいのか?という点です。
比較として、SBI・バンガード・S&P500と、楽天・米国高配当株式インデックスファンドの基準価格の変化でパフォーマンスを比較してみると、S&P500の方がパフォーマンスがいいんですよね。(どちらも設定日から日付が浅いので、短期的な比較になってしまいますが。)
基準価格の変化 | 高配当株 | S&P500 |
---|---|---|
2019/9/26 | 10171 | 10000 |
2021/06/17 | 13109 | 14874 |
上昇率 | 28.89% | 48.74% |
つまりパフォーマンスが高い順に並べると
SBI・V・S&P500
SBI・V・高配当株式
VYM
という順番になるということになります。結局S&P500のインデックスファンドが一番パフォーマンスがいいよね、というまさかの結論が出てしまいました。
ある意味高配当投資とインデックス投資はどちらがよいのか?という一つの答えのような気もします。
高配当投資も捨てたもんじゃないよ
ただ、株式投資の投資スタイルとして高配当投資というやり方もあります。この場合のメリットはやはり手元に配当金が入金されるというメリットがあります。このあたりは投資家の志向次第なのかなと思います。
かくいう私も高配当投資家を自認しており、VYMをコツコツと定期買付しています。高配当投資はアンチも多いネタの一つですので、私はこのあたりでそろそろ退散したいと思います。
皆さんの投資の一つの判断材料になれば幸いです。
少しでも興味もって頂けましたら、Twitter(@seita_watch)のフォローを是非お願いします! [1]・・・【投資信託とETFどっちがお得?】「SBIバンガードS&P500」と「VOO」の比較シミュレーション