[要約まとめ]本気でFIREをめざす人のための資産形成入門 30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法

[要約まとめ]本気でFIREをめざす人のための資産形成入門 30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法

日本人としてFIREを達成した人としては第一人者ではないでしょうか?

Twitterでは三菱サラリーマンとして、資産形成アカウントでは有名だったと思います。

書籍の大まかな内容

本著についてですが、大まかにいうと以下の流れで構成されています。

・著者の人生の振り返り
・収入の多くを投資に回す。
・支出を最適化する
・高配当株に投資し、キャッシュフローを生み出す。

基本的にブログの内容をまとめたものということで、ブログを良く読めば同じことが書いてあるのかもしれませんが、書籍の方がまとまっているので、要点はつかみやすいでしょう。

また書籍の大部分は、高配当・連続増配銘の投資法について書かれています。この点で言えば、バフェット太郎さんの「バカでも稼げる「米国株」高配当投資」に似ている内容かもしれません。

高配当投資のススメ

基本的に本著のFIREは高配当株の配当で、必要な生活費を賄おうという話になっています。

本著の投資手法としては、給与の可能な限り多くを、高配当株に投資するという方法です。また投資に回すお金を最大化させるためにも、支出を最適化させる方法が紹介されています。

節約ではなく、あえて支出の最適化という言葉を使っているのは、精神的に無理してまで節約する必要はなく、節約しても精神的に影響のないものを節約しようという発想です。

個人的にこの考え方は非常に共感できます。

連続増配銘柄を選ぶ

米国株では60年以上に渡って、毎年配当金を増やし続けている連続増配銘柄というのもあります。

配当王:連続増配50年以上
配当貴族:連続増配25年以上

例えば、以下のような銘柄があります。※書籍と同じ主旨で私で再抽出したものです。(2021/3/25時点)

銘柄 会社名 セクター 配当利回り 連続増配
AWR アメリカン・ステイツ・ウォーター 公益 1.81% 66年
NWN ノースウェスト・ナチュラル・ガス 公益 3.67% 65年
DOV ドーバー 資本財 1.48% 65年
GPC ジェニュイン・パーツ 一般消費財 2.86% 64年
PG プロクター・アンド・ギャンブル 生活必需品 2.39% 64年
EMR エマソン・エレクトリック 資本財 2.31% 64年
PH パーカー・ハネフィン 資本財 1.15% 64年
MMM スリーエム 資本財 3.10% 63年
CINF シンシナティ・ファイナンシャル 金融 2.43% 61年
KO コカ・コーラ 生活必需品 3.27% 59年

連続増配株の中でも、さらに高配当株もありますので、それらの銘柄に投資していくというスタイルになります。この投資法のメリットは、不景気でも配当を減らす可能性が低いため、配当が安定しているという理由です。

ETFを選ぶ

また個別銘柄以外でも、高配当ETFを選ぶという選択肢もあります。高配当ETFとして以下のような銘柄が紹介されています。

SPYD:SPDR®ポートフォリオS&P500®高配当株式ETF
VYM:バンガード・米国高配当株式ETF
HDV:iシェアーズ・コア高配当株ETF 投資信託

これらの銘柄は、私も投資しておりますので、この点も共感できます。当ブログでも紹介していますので、興味がある方は是非見てみて下さい。

SPYD、HDV、VYMの特徴を比較、結局どれがいい?(構成銘柄、経費率、セクター比率、配当利回り)米国株高配当ETFを比較

つみたてNISA or 一般NISA

いずれも株式投資における非課税制度ですが、著者はFIREを目指すのであれば、一般NISAがおすすめと紹介しています。

というのも、一般NISAであれば、高配当銘柄を購入し、その配当を非課税で受け取ることができるという理由からです。

本著をめぐる批判

この書籍が発売された当初のTwitterのコメントを覚えているのですが、比較的批判の声も目にしました。また、Amazonでも批判するレビューも少ないながらも投稿されています。

ここではその批判の妥当性について考えてみたいと思います。

高配当投資は妥当か?

高配当投資は、時に株価の下落が大きいために、投資方法として批判されることの多い投資手法です。実際に本著でもJTや[MO]アルトリアへの投資が紹介されていますが、いずれも株価の下落が大きくなっています。

批判の内容として多いものは、確かに配当収入は増えているが、株価下落によって総資産が減少していれば、投資手法として正しくないというものです。

高配当投資がメリットあるという見解も

確かに配当金以上に資産が減ってしまえば元も子もありませんが、高配当投資の方が結果としてはパフォーマンスが高いという意見もあります。

高配当投資といえば、ジェレミー・シーゲルの「株式投資の未来」が有名です。高配当銘柄は株価のパフォーマンスが悪くても、株価が下落すると、より多くの株を買えるため、株価が回復した時には結局他の株式に比べても高いパフォーマンスとなるという物です。私も株式投資を始めた初期はかなり影響を受けました。

また、すでに述べたように、高配当投資は、株価に関わらず配当金が安定して入ってくるので、株価を気にする必要がないという点と、サラリーマンをやめるということを前提にすると、安定して入金される配当金は非常に精神的に安心できる投資法であるという側面もあると思います。

現代はインデックス投資が最適と言われている

FIREでは投資で不労所得を得るというのが前提となっています。そして多くのFIRE本では投資の前提としてはインデックス投資が中心となっています。これは株式投資においてはインデックス投資が平均して最も効率がよい投資法であると言われているためです。書籍内では、インデックス投資について、わずかしか触れていませんが、FIREではなく、老後の資産形成や、長期的な資産形成をしたい方なら、と少しディスり気味に書いていましたので、この点が批判の対象になっているのかもしれません。

高配当投資戦略のメリットとデメリット、リスクの考察 | 日本株、米国株、投資信託

上記の記事でも紹介していますが、高配当投資において、配当金にかかる税金の問題もあります。配当金を受け取って、さらに再投資することで複利の効果を得ることが期待できますが、配当金を受け取る段階で税金が引かれます。(米国株の場合、現地で10%、さらに日本で20.351% ※米国現地の税金は、確定申告で戻ってきます。)その点、配当を出さずに自社の次の事業に投資するような会社(Appleなどのグロース企業)に投資したほうが、効率がよいという考え方もあります。

収入が多くないと再現できない

著者は三菱グループで比較的高給取りだったようで、あくまで収入が高かったから実現できたのであって、多くの人にとっては再現できないという批判があります。

この批判は一部は正しいと思いますが、もう一部では間違っていると私は思います。

批判が妥当だと思う点

まず、この著者は収入が低くても実現可能としていますが、その表現は「年収500万円以下でも」という基準がすでに高い点と、具体的に必要な年数のシミュレーションが提示されていなかったので、確かに年収が低いと再現できないように感じます。

批判が間違っていると思う点

一方で、FIREで入金力を上げるというのは、正しい手法です。そもそもFIREとは、定年退職より早い段階で資産を形成しようとするものですので、通常の貯金や投資ではまず実現が難しいものです。その点、入金力を上げるというのは一つの正しいアプローチです。ただ入金力を上げる方法が給料以外にも考えられる点にも触れてよかったかもしれません。実際にFIRE本の中には、副業や企業で入金力を上げるように勧めるものもあります。

少し書き方が足りなかったか、観点が偏っていたのかもしれません。

まとめ

書籍について良かった点を振り返ると

・高い入金力でFIREを目指す
・支出を最適化する
・連続増配・高配当銘柄への投資

という3点は非常に分かりやすく、初心者でも取り組みやすいと思います。

悪かった点を振り返ると

・高配当投資のリスクについて言及していない(株価が下がって資産が減少する可能性がある)
・具体的にどれくらいの年収と入金力で、FIREを達成できるか書かれていない。

あくまで著者の実例という観点で紹介されていますので、「高配当投資をしよう」という主旨以外では、多くの人が真似しやすいようには書かれていないという点が気になりました。
高配当投資は、投資初心者には口当たりのよい投資手法ではありますが、そのリスクについてしっかりと知る必要がある投資手法です。

ただ方法はどうあれ「FIREを達成している」という事実は揺るぎないので、そこは素直に尊敬の念を抱きたいと思います。

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