2020年、本格的に投資を開始してから2年が経ちました。自分の投資に対する考え方を整理するとともに、後からどのような投資をしていたか振り返るために、1年間の投資を振り返ってみたいと思います。
総論
年初からコロナ暴落を食らうなど、一時期はヒヤリとしましたが、その後資金を大量投入した結果、パフォーマンスを大きく伸ばすことができました。
年初来パフォーマンスは+25.8%となりました。(評価損益、確定損益、配当(税引後)をすべて含みます)
【2020年の年初来パフォーマンス推移】
年間パフォーマンス推移
2019年:-7.5%
2020年:+25.8%
これだけパフォーマンスが良かったのは、3月のコロナ暴落の後に相当な資金を投入したことが理由です。本格的に株を始めたのが2019年8月頃だったのですが、その時に株式市場は高値を更新し続けており、大量の資金を投入するきっかけがありませんでした。色々と投資に関する情報を集めていた中での3月だったので、タイミング良く色々と買い集めることができました。
また、仮想通貨(BTC、ETH、XRP)をパフォーマンス全体の5%ほど保有していましたが、年末の上昇でさらにパフォーマンスがよくなりました。
※年初来パフォーマンスの計算方法について、入出金が複雑で間違っているかもしれませんが、高パフォーマンスだったことは間違いないと思います。
【2020年の個人的な主な投資イベント】
2020年3月
コロナ暴落
2020年3月~5月
各種銘柄大量買付
2020年7月ポートフォリオ分散化開始
債券購入、金積立開始
短期投資枠の設定
2020年8月XOM、RDS.B損切り
SPYD積立中止
米国個別銘柄投資を当面中止→ETFと投資信託のみに
それぞれのイベントについて以下紹介していきます。
2020年3月~5月:コロナ暴落と大量買付
私が本格的に投資を始めたときは、GAFAMの上昇の絶頂期で、TwitterでもGAFAMやQQQなどの投稿が頻繁に行われていました。
米国市場全体が好調で、全体的に割高感も感じていたため、なかなか大規模な資金投入ができていないなかで、起こったのがコロナ暴落でした。
コロナが暴落した局面で、徐々に様々な銘柄を買い集めました。とはいえ、当時はまだまだ二番底も警戒しなければならなかったため、3月~5月に分散しながら(個人的に)大規模に資金を投じました。結果的にはこの投資が2020年の投資パフォーマンスの向上に貢献しました。やはり安い時に買うというのは、投資の重要な行動であると実感した部分でもありました。
・下落局面でも狼狽売りせずに、チャンスと捉えて買いに向かうことができた
・複数の株主優待銘柄を安く仕入れられた
・損切りの基準が不明確だった。バイ・アンド・ホールドと決めていた銘柄が含み損に突入した。→バイ・アンド・ホールドを決め込まずに、長期投資でも投資を見直す基準を設けるべき
2020年7月:ポートフォリオの資産を分散化
2020年は、これまで日本株、米国株のみだった資産を、以下のように多様化させ、それぞれの項目で保有比率の目標を定めて運用を開始しました。
- 日本株
- 先進国株
- 先進国債券
- エマージング債
- 日本REIT
- 先進国REIT
- 金・銀・プラチナ
- ビットコイン
まず前提として私は投資履歴が2年未満と期間が浅く、初心者投資家に分類されると考えています。その上で、リスクを抑えながらリターンを得るためには、資産の分散化が重要である考えました。いわゆる現代ポートフォリオ理論と呼ばれるものですね。
・ポートフォリオを分散化させることで、資産全体の値動きが安定化した
・分散先のひとつであるビットコインが年末にかけて急激に上昇し、パフォーマンス向上に貢献した
・先進国債券の購入タイミングが、一番金利が低い(一番国債が高い)タイミングだったので、あえて暴落した後に買う必要はなかった。
ポートフォリオ分散化にあたって、債券や金に関する記事も色々書きました。
なぜポートフォリオに国債(債権)を含める必要があるのか?そしてどうやって国債を買うかの研究
金・ゴールド投資の方法・種類・銘柄一覧まとめ【GLD、GLDM、1326、1540比較】
ポートフォリオ分散化はできたが・・・
このように資産の種類の分散化を進めることができた一方で、日々の値動きが非常にゆったりとしたものになりました。ある意味目指していたものではありますが、少し物足りなさも感じ始めました。
そこで8月位から、資産の10%-20%の範囲で、短期投資枠を設定することにしました。
短期投資枠の設定
これまでポートフォリオ分散化を進めては来ましたが、資産を最大化させるキモは、成長銘柄への集中投資であると考えています。バフェット自身が比較的少数の銘柄への集中投資で成績を上げていたのに加え、やはり株で成功した方で圧倒的に多いのが成長銘柄(厳密に言えば小型株)に集中的に資産を投下するやり方です。
真似したいのはやまやまですが、過去に日本株の個別銘柄では利益を上げるどころか大きく損をした投資もありました。自分の投資実績を考えると、資産の大部分を集中的に少数の銘柄へ投資するには銘柄選定に自信を持てなかったので、まずは少ない金額で(とはいえある程度緊張感を持って取引できる金額)で色々と試行錯誤したいと考えました。
その中で自分で許容できる範囲が10%-20%だったので、この範囲内で、日本株で1~2銘柄の少数銘柄に集中投資することに決めました。短期投資枠設置にあたっては、書籍等で投資法を色々と学ぶ一方で、Twitterで成功している人の銘柄選定方法も調べ、実践を開始しました。
まだ短期投資枠設定から半年ほどしか経っていませんが、いまのところよい成績を生み出しはじめています。
ある程度自分の中で成功体験を蓄積することができれば、短期集中投資枠の割合を増やして行きたいと考えています。
・売上成長率、営業利益率、EPS成長率に注目した銘柄選定がうまくいった。
・利益確定のタイミングや損切りの基準が不明瞭だった。
2020年8月:高配当銘柄の失敗
私が株式投資を始めたきっかけは、完全に高配当投資で、銘柄選定も配当利回りを中心に選んでいました。その中で以下ような銘柄を購入していました。
SPYD
RDS.B
XOM
エネルギー株の損切り
XOMやRDS.Bを買っていた大きな理由としてはジェレミー・シーゲルの株式投資の未来でした。
この本の主張としては、
「下落局面では配当利回りが上がって、その後回復することで、一気に成長株のパフォーマンスを上回るので、下落局面でも継続的に高配当を買うこととにメリットがある。」
というような内容だったと思います。
ところが、実際下落局面が訪れて初めて気づきました。
「これ、回復しないでそのまま下落し続けたらどうなるんだ?」
結局この高配当投資法は、最終的に株価が上昇した時に初めて報われるのであって、しかも下落している途中は長期的な展望がない状態なので、そのうち明るくなるだろうという見込みで投資を継続することになります。もうこれってギャンブル以外のなにものでもないなと思いました。
過去には、USスチールといったように、下落し続けて回復せずに倒産した銘柄もあります。ようするにこの高配当投資法は、生存者バイアスがかかっているとも考えられると思います。
ここまで私は高配当投資とバリュー株を一緒に考えていたのですが、これは別物で、バリュー株であったとしても長期的に株価が上昇する見込みの銘柄を選択するべきであると気付かされました。こういう経緯で、高配当銘柄を下落局面でナンピン買いし続ける投資法は、自分は採用しないと決めました。結局XOMは42ドル前後(平均買付単価は60ドル位)で損切りすることにしました。
この投資を通して、高配当というだけで投資するのは私としては許容できないという結論にいたりました。株式は長期トレンドが上昇しており、将来的な事業の展望が明るい銘柄を選ぶべきで、高配当銘柄を選択するにしても配当利回りは2%〜6%程度の範囲に収まる銘柄を選ぶべきであると考えるようになりました。
なぜこの数字なのかというと、配当が高すぎると、株価暴落のリスクや、事業の継続性に懸念が出てくるという側面があり、成長を続けながら配当を出すと考えると2%~6%に落ち着くのではないかというのが理由です。
実際に2%〜6%の配当がパフォーマンスもよいというデータもあるようです。
Picking Dividends With A Famous Professor Of Accounting
配当利回りと投資のリスクを考えると以下のイメージです。
様々な投資と名のつくもののリスクのイメージはこんな感じ。
0-1% 気にしなくていい水準
1-3% 健全な水準
3-5% 高配当水準、安全
5-8% 高配当水準、注意
8%以上 要注意水準
10%以上 落とし穴あり(このあたりから詐欺案件が出てくる)— TES (@tes_money) June 19, 2020
・配当利回りだけで銘柄を選んではいけないことに気づいた。
・高すぎる配当利回りにはリスクが伴うことを知った。
・有名な人の本1冊だけの情報で投資判断するのは良くないと気づいた。
・短期間だが、先の見通せないナンピン買いをした
SPYDの積立停止
これらの銘柄を買い集める中で、コロナ暴落が起こりました。中でもSPYDは、他の高配当系のETFであるHDVやVYMに対して、下落幅も大きく、回復も遅いという動きをしていました。
8月頃までは定期買付も行っていた関係で、平均買付単価は30ドル前後に低下していたのですが、そもそもSPYDというETF自体、資産形成で積み立てるべきETFではないのではないか?という結論に至り、積立を停止しました。
以下の青の範囲が積立期間(約1年)
SPYDの特徴でも以下の点が、自分の中ではよくないと考えました。
・構成銘柄に知っている銘柄がほとんどない。
・買付銘柄が時価総額加重平均ではなく、均等である。
・構成銘柄の配当利回りが6%以上で、個別の銘柄のリスクが高い。
この記事執筆時点(2020年1月12日)では、SPYDは含み益となっており、さらに配当も出る点では、いい結果となっていますが、しかし、基本的な銘柄の選び方を高配当すぎる銘柄は選ばないという結論にいたりましたので、SPYDの継続積立はしない方向です。とはいえ、長期保有目的で購入している点もあり、売却はせず、このまま保有し続け、長期的に保有した結果どうなるのかも、自分なりに評価したいと考えています。
定期購入という観点から高配当銘柄という位置づけでは、VYMとHDVの定期買付に変更しました。もしかしたらVIGの方がいいのかもしれませんが、VIGはどちらかといえば、純粋なインデックス投資に近いと考えていますので、高配当というカテゴリではVYM、HDVでの積立にする方針です。
【いままでの積立】
SPYD
HDV
【現在の積立】
HDV
VYM
QQQ
・結果的には高配当ETFを安く買い集められたので、年間配当額が大幅に伸びた
・ETFは時価総額加重平均で選ぶべき
・よく知らない銘柄群に投資していた
・長期前提で積立していたものを短期間でやめて方針転換してしまった
※XOMやSPYDなども長期的に報われる可能性が十分にあるとは思いますが、そこにいたるまでの道のりが非常につらいのと、自分でリスクをコントロールできないので、やはり私としては採用できない投資方法です。
米国株の個別銘柄の売買を停止
2020年6月頃に、米国株の個別銘柄投資を一旦中止しました。そこまでで米国株に約1年ほど取引を進めていたのですが、パフォーマンスを比較すると圧倒的に日本株のパフォーマンスがいい状態でした。
やはり米国株は、よく知らない銘柄が多く、表面的な数字やチャートだけで売買していることが原因だったのかなと思いました。Twitterの投稿で右往左往した部分もあったと思います。そこで投資戦略を以下のように変更しました。
日本株:個別株
米国株:ETF、投資信託のみ
6月以降は日本株でも順調なパフォーマンスが出せているので、自分にはこのやり方があっているのかなと考えています。ただこれまで米国株の個別株の失敗は高配当株だけですので、グロース株で投資したらどういう結果になるのか試してみたい気持ちもありますが、米国株の個別株まで手を出し始めると、財務分析や決算のフォローアップが大変になりすぎますので、投資信託とETFだけでいいかなと思っています。
・米国個別銘柄を調査する時間が減って、投資に使う時間が効率的になった
・日本株はしっかりと分析することができ、パフォーマンス向上につながった
・株価が急上昇するような米国銘柄を購入する機会がなくなった
2020年、投資について考えたこと
バリュー投資とは何なのか?
最初のうちは、価格の安い銘柄=バリュー株というような認識を持っていましたが、バリュー株の根底には、以下の要素が大事であることを痛感しました。
・売上が伸びている
・事業の将来性が明るい
・株価が上昇トレンドである
これはいわゆるグロース株と同じ定義になりますので、そもそも割安株とかグロース株という切り分けが間違っているのだと思います。
私自身の考え方として、グレアム的割安株から、バフェット的割安株に考え方を更新できたのかなと思います。
あとは事業が持つ”ワイドモート”(広い堀、つまり他社との十分な差別化要素)がある銘柄選びはかなり重視するようになりました。
高値で買うか、安値で買うか?
これは2つの局面で使い分けたいと考えています。
いわゆるグロース株と言われるような株価が急激に伸びているような銘柄は、高値更新のタイミングで買うのがパフォーマンスが良さそうに感じています。これはピーター・リンチやミネルヴィニの投資法ではこのあたりの投資手法が紹介されていると思います。
一方で、株価が急激に伸びていない銘柄で、株主優待目的や配当金目的で買うような場合には、安値を待って買ったほうが長期的な投資としてはうまくいくような気がしています。
投資を続けていけば、もう少し判断基準ができるとは思います。
株は買い時を待つべきか?一気に買うべきか?
私は株式投資をはじめるまで、それなりの額の貯金がありましたので、一気に株式投資に資金を回すか、少しずつ回していくかを考えさせられた年でもありました。
色々なネット記事、雑誌、書籍を見ていると、多くの株式投資の専門家は「市場のタイミングを読むことは難しく、機会損失になるので、早い段階で株式に変えるべき」という主張をしているように感じています。
米国株のインデックス投資(SPY、VOO、VTIなど)で長期投資前提であれば、一括投資もありかもしれませんが、株式投資初心者の私は、初期の段階で一気に資金を投じるのが怖くて、2~3年程度に分散させて投じる方向で動くことにしました。
特に暴落直前に投資してしまうと、2〜3年分の含み益が簡単になくなってしまう可能性もコロナを見て思いました。(実際にいまだに含み損の銘柄も複数あります。)また、株式投資のベテランならいざしらず、経験がほとんどない中で、浅い知識で一気に投じるのは失敗の元になりそうだなと思っています。
(この判断をしている時点で、私のリスク許容度はあまり高くないと思います。)
株式投資には興味なく、楽して資産形成したい方で、長期投資の方針の方であれば、一括投資がいいのかなとも思いますが、私は個別投資も含めて色々と楽しみながらやりたいので、徐々に株式を購入するやり方が合っているのではないかと考えています。
インデックス投資に関する自分の考え
インデックス投資に関する議論はTwitter上でもつきませんが、私はインデックス投資が大多数の人にとって最適解であり、それを上回ることが難しいということに関しては同意しています。
とはいえ、インデックス投資だけでは、大きな資産を築くことは難しいとも考えており、実際にインデックス投資以外で大きな成績を上げている人がいるのも事実です。
私は「インデックス投資は資産増大の最適解の一つではあるが、それ以上に資産を増やすことも不可能ではない」と考えています。
インデックス投資を資産形成の軸としながらも、個別投資の手法を研究し、資産を増大させるきっかけを探したいと考えています。
2021年の投資について
コロナ禍における株高が続いています。金融緩和による金余りという側面があるにしても、さすがに株式市場は過剰に評価されているように感じます。
正直暴落がそろそろありそうだなと思う一方で、暴落のタイミングなんて予測出来るはずもないので、暴落が起きても一定の買付は出来る余力を残しつつ、定期買付を淡々と進める戦略で行こうと思います。
あとは、利確や損切りなど売却のタイミングについて、もっと研究していきたいと考えています。
読んだ書籍2020年9月以降
2020年は株式の本だけではなく、経済や金融に関する書籍に多く触れました。おかげで米国の政治の動きによる米国株への影響や、どのような経済指標がどのような因果関係があるのかという基本を知ることができました。
勉強したからといって、株に勝てるわけではないと思いますが、知らないよりは知っている方が勝てる確率は高くなると信じています。
- 伝説のファンドマネジャーが見た日本株式投資100年史
- 相場師一代(小学館文庫)
- 10万年の世界経済史 上
- MMT<現代貨幣理論>とは何か
- 超入門経済学
- 金利「超」入門
- 世界一わかりやすい金利の本
- 目からウロコが落ちる奇跡の経済教室【基礎教室】
- マンキュー入門経済学
- ファイナンス理論入門
- 株式投資 ジェレミー・シーゲル
- 絶望を希望に変える経済学
- 金融のすべてはロスチャイルドが作った
- 金融の世界史
- マーケットのテクニカル分析
- 相場サイクルの見分け方
- 入門アメリカ経済Q&A100
- 2020年世界経済の勝者と敗者
- ケンフィッシャーのPSR分析
- 世界一わかりやすい米国式投資の技法
これ以前はあまり一覧を記録していなかったのですが、以下の記事でも読んだ書籍を紹介しています。投資の振り返りのも書いていますので、興味がある方はそちらも御覧ください。
そのほか投資の考え方のサマリーはこちらをご覧ください。
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